進化の過程にある椅子 - Concept
見ているだけで惚れ惚れするような椅子があります。この様な椅子は、「座るための道具」というより、むしろ「空間を演出する装置」と考えられます。
これがもっと進化?すると?おそらく、美しい装飾品をまとって自己主張を始めます。しかしそれは、進化の過程でしかないのです。
その先は、進化を始めた椅子のオメガポイントは、いったいどこにあるのでしょうか。
それを考え続けて行きたいと思います。
ここ数年、「進化の過程にある椅子」は、Versionごとに「クラス
※1
」 を定義し、個々に条件を設定して「インスタンス
※2
」 を醸成する、という実験的デザイン手法を試みています。
進化の過程にある椅子 Ver.1.0 の「クラス
※1
」は、次のように定義されています。
1. 背、座、脚を持つ。
2. 座に「花器」を装着できる。
3. 背の座側が鏡になっている。
Ver.1.0 の「クラス
※1
」から醸成された「インスタンス
※2
」 には、「
木の背とガラスと金属の前脚を持つインスタンス
」、「
金属の背とガラスと木の前脚を持つインスタンス
」、「
シナベニヤを使ったノックダウン式のインスタンス
」、「
丸三方の形をしたインスタンス
」、「
キュリオケースの機能を持つインスタンス
」があります。
また、進化の過程にある椅子 Ver.2.0の「クラス
※1
」は、次のように定義されています。
1. 背、座、脚を持つ。
2. 背の後部に「花器」を装着できる。
3. 背がスリット状になっている。(スリット状の隙間から「花器」に生けた草花を鑑賞することができる。)
Ver.2.0 の「クラス
※1
」から醸成された「インスタンス
※2
」 には、「
部屋の隅に置くためのインスタンス
」があります。
※1
【クラス】 オブジェクト指向プログラミング言語のC++やJavaで使用される「class」と同義で、オブジェクトの性質や振る舞いを定義したもの。
※2
【インスタンス】 オブジェクト指向プログラミング言語のC++やJavaで使用される「instance(実行時に作成されるオブジェクトの実体)」と同義で、「クラス」をもとに使用条件に合わせて作成されるオブジェクトの実例。