進化の過程にある椅子 Ver.2.0 部屋の隅に置くためのインスタンス
Ver.2.0 のインスタンスで、
DESIGNTOPE
の
第5回デザインコンペティション「木製小椅子」
への応募案です。
▼ デザインで主張したいことや特徴:
玄関や居間などの隅に置くことを意識してデザインされた小椅子です。ホテルのロビーなどの広い空間であれば、場所を選びません。
人が座ることも出来ますが、むしろ、空間を演出する装置に進化する過程にある椅子だとお考えください。
座は、物を置けるよう平らにしてあります。長時間腰掛けていたい場合、敷物を敷くなどの工夫が必要になるかも知れません。
背の後部に花器を装着する部分を持っていて、背の横桟の隙間から生けた草花を鑑賞することが出来ます。
花器の概略だけが定義されており、誰でも自由に花器のデザインや製作をすることができます。
座の下部に小さなフロアーランプを入れると、脚の横桟の隙間からもれる灯りが面白い効果を醸し出します。
▼ 日本の美意識へのメッセージ:
日本の美意識の中には、私が共感できるものがたくさんあります。
その一つは、野にある草花のその一瞬の輝きを切り取って器に盛ることにより、生のすばらしさと滅びて行く虚しさを同時に味わいつくすという心です。
もう一つは、必要のない物は持たず、数少ない身の回りの物を大切にし、質素倹約を旨とする心です。
三つ目は、すばらしい景色を切り取った明るい窓の眺めより、すだれや格子戸を通して見えるぼんやりした風景を好む心です。
四つ目は、大きな窓から光が入る明るい部屋より、奥の部屋の薄暗闇の中にあって心の安らぎを覚える感覚です。
現代社会では、身の回りを多くの必要のない物に取り囲まれて身動きすら取れない状態です。
町を歩けば人口照明が明るさを競っています。心の中をすべて見透かされてしまいそうで落ち着きません。
そこで、私の居場所の一隅を、生命の存在を感じることができ、物があふれていない、ほんの少し薄暗い、そして心豊かになれる空間にできないものかと考えました。
日本の美意識の一部を凝縮したこの小椅子で私の求めている空間を創り出すことが出来るかもしれません。
▼ 三次元画像:
▼ 三面図:
▼ 詳細図: